NPO法人の設立

  私は、かねてより村井楽器の新規事業として、音楽療法に関わるセッションやレッスン、あるいはイベントなどに取り組んできました。

 このたび、この活動の母体として、

 三重音楽療法地域推進協会が NPO法人の認可を受け、発足することになりました。略称は「MTちいき」です。
 MTは Music Therapy つまり、音楽療法のことです。 


 音楽療法をする人や、関心のある人の団体はこれまでのたくさんあります。しかし、「MTちいき」では、音楽療法を受ける側の人や、あるいは直接音楽療法をするわけではないが、橋渡しをする人などが、それぞれの思いで集い、情報や技術を共有し合う、そんなネットワークなればいいなあ、と思っています。


 音楽療法は、音楽することを個人個人の健康と結びつけて、よりよい生活が実現できるように、という関心で始まったことだと思っています。
 音楽療法には、ともすれば、特別な音楽、特別な手法、そういうことを扱える特別な専門家、のイメージがあるかも知れません。
 そんなものではないはずです。

 何でもいい、ただの音楽でいい、ただ、今現在その人にとって何が大切か、お互いに感じ合って生まれてくる音楽、その喜びを分かち合いたいのです。

 皆さんもぜひご一緒ください。

 webページもできています。 http://mt-ms.jimdo.com/

 入会の方法や会員の特典は改めてお知らせしますね。






at 10:33, まんどろ, 音楽療法の活用

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アセスメント(査定)

 僕は音楽療法士ですけど、いったいどんな仕事?と尋ねられると、なかなか答えるのが難しい。尋ねてくれた方やその場の状況によって、様々な返答の仕方がありうると思うのです。

 定期的にどなたかと継続的に音楽で関わって、その人の発達だとか、自己実現だとか、はたまたQOL、もうちょっと突っ込んで、療育だとかリハビリテーションなどということを持ち出せば、それはいかにも音楽療法士らしい仕事のように思えます。

 このような音楽療法の活動がうまくいくために、極めて重要なのが 

 アセスメント ということです。

 アセスメントは通常「査定」という風に訳されます。例えばこれまで使ってきた車を業者に買い取ってもらう時にいろいろチェックして値踏みをしますよね、あれが査定です。

 でまあオアイテがあって絡みながら(なかなか絡みようがないことも含めて)、その人が一体どんな風かという査定を常に行いながら、音楽するのが音楽療法士の仕事の始まりでしょうか・・・・。

 というといかにも観察やらテストやらみたいな感じですけど。僕の場合は、僕自身つまり自分がオアイテとどのようなことで楽しめたかというのが、一番ポイントなので、オアイテを試したりするようなムードはなるだけ避けたい、と願ってはおります。

 でこのアセスメントが、なかなかのもので(自分で言うのもおこがましいけど)、そのことでオアイテのことがいっぱい、いっぱい感じられて、そのことを言葉にすれば、その人のことをかなり的確に語ることになるように思います。

 実は、幼稚園・保育園の巡回教育相談では、まさにこのアセスメントが中心のお仕事ということになります。

 きょうはまた、いつもの「和(なごみ)」で、5人の子どもさんと音楽をしてきました。僕のお仕事としては、その時間オアイテのお子さんたちと過ごすことよりも、文字通りアセスメントを行い、僕が音楽によるかかわりから得られた、子どもさんの様子について、まずは療育のスタッフさんに、そして親御さんにお伝えをするということです。

 音楽の活動は、体を使い、心を動かせ、楽器を扱い、周りの人と調子を合わせたりするものですから、その様子から、その子どものその時の、身体・心理・社会性の実態が、とても明瞭に現れることが多いのです。

 今日のオアイテは、乳児から幼児へそしてやがて児童へと発達を遂げていく、その途上のお子さんたちでした。

 穏やかに、伸びやかに、生き生きと、子どものそういう姿を支えるために必死になっている親御さんや療育のスタッフさんといったおとなたちとご一緒しました。もちろん僕も必死ですけど、とっても楽しかったです。

 何かうまい方法があってぐいぐい伸びていく、というのは落とし穴がありそうです。
 子どもはおとなに守られ、揺さぶられ、自分を発揮し、成長していきます。そして、子どもに関わるおとなを育てていきます。







at 14:15, まんどろ, 音楽療法の活用

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即興の勉強会

 MMTP、なんだかいかめしそうなネーミングですが、要するに

  村井楽器  音楽  療法  プロジェクト

という活動です。村井楽器で音楽療法関連の教室や事業にかかわるメンバーと社長が毎月実践の振り返り協議(カンファレンス)や勉強会をしたりします。

 10月のMMTPでは、即興の実習ということで、僕のスタジオにメンバーが集まりました。
 
 まずはそこいらにある楽器を思い思いに鳴らしてみます。それもあんまり正式な奏法じゃなくて、お試しとか、第一、どう鳴らしたらよいのか見当のつきにくいような物を触っていきます。
    

 一人一人のバラバラ感が写真にも出てますよね。僕は、こういう一人一人の動きだし、がとっても大事だと思ってます。

 で自分の音を試してますから、人に合わそうなどとは思わない。それでも何となく影響し合うような、そうでもないようなあいまいな時間が流れます。

    
 
 そのうちに、ギターなんかを持ち出したりすると、みんながその方向で内を向くような時間も生まれる。

 こういうのも多分30分を超えてくると、面白い現象が体験されると思うんですが、とりあえずのところで、ストップしました。

 要は、音楽に決まりごとはなくても、それなり動き出せるし、動き出しさえすれば、お互いに影響し合って、場合によってはみんなが一つの方向性を感じ始めることもある、そういう予感をしていただければOK、かな・・・・?




 続いて、ピアノの即興連弾に入りました。


   

 低音部がセラピスト役、高音部はクライエントということで、何をどうしようが構わないというわけです。
 セラピスト側はクライエントを支え、応答し、さらに混じり合って発展させていくわけですけど、そのためのよすが、というか支えとして教会旋法を使う方法をお伝えしました。


 この方法はピアノの即興ではかなりポピュラーで、ジャズなんかでは必須のことだと聞いていますが、普段音楽教室で教えてみえるレスナーの皆さんにはかなり新鮮だったようです。

 僕は、ろくにピアノが弾けるわけでもない自分が、ピアノの先生をされる方々に「指導」しているのが、何とも奇妙な感覚でした。ですが、通常の音楽の枠組みをずらしたり、外れたり、あるいは別の枠組みを構築することで、音楽療法の音楽が生き生きしたものになるわけで、そういうことは一杯やってきたわけですから、「まあそう気後れすることもないでしょう」、と自分自身に言い聞かせました。
 
 普段音楽をすることのあまりない社長もクライエント役で登場してもらいましたが、何人かと即興されて、「相手によって、全然違うもんだ・・・」と感想をのたわまったわけです。

 そうなんです!!!

 相手を感じるからこそ、自分の手数も出せる、その出方は、自分自身そのものだと感ぜざるを得ない。楽譜をやっていると、うまく弾けてるか、へたくそかという視点がまず出てきます。でも即興では、もともとうまいもへたもない。そして確かにその人自身が出てくる、それが実感できるんです。

 だから、音楽療法では、即興命なんですよねえ。

 この勉強会では、いわば手練れのピアニストですから、彼女たちによる即興は、ムードもあってとっても素敵な響きで、そのまま楽譜に書けば、立派な曲にもなりそうでした。

 そういうことをほとんど大した技術の壁をなくして行えるのが、僕ら音楽療法士の得意技とも言えそうで、ちょっと嬉しかったです。

 ということで大変有意義なお勉強会になったと思います。

at 14:47, まんどろ, 音楽療法の活用

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和(なごみ)さんにて

         

                                         

 松阪の児童デイサービスセンター「和(なごみ)」での療育活動で音楽療法を取り上げてもらい、時々楽しい、でもとっても真剣な音のやり取りをしてます。 


 楽器への食いつきとかは、個人個人違うし、その辺は出会いとか、発見とかいうようなことを期待するわけだけど、音やリズムということになると、その子どもさんの発達のれべるということが大きくものをいう。ちょうど良いところ、レベルアタックとかも言いますけど、そこを狙って働きかけると、真顔が、そしてそれをやり終えた後の笑顔も共有できます。

 僕はいっつも真顔でやってます(そのつもり)。

at 09:41, まんどろ, 音楽療法の活用

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音楽療法入門講座

 僕は、学校の先生を辞めてからフリーの音楽療法士として活動してきました。
 その後、3年ほど前からふとしたご縁で声をかけていただき、地元の楽器店である村井楽器の音楽教室で講師を務めるようになりました。

 僕が担当するのは3つのクラスで、

    音楽療法

    かんたんギター

    音楽療法入門講座   です。


 この最後の音楽療法入門講座ですけど、最初は楽器店に在籍する講師の先生方を対象に音楽療法とはどういうものか紹介し、カリキュラムによるのではなく、目の前の生徒さんに合わせた活動をどのように行っていけばよいか、そういうことを通して、これまで以上に幅広く多様な生徒さんに対応出来るようになることを模索していきました。

 例えば自閉症の子どもがやってきたから「自閉症児のための音楽療法のノウハウ」に即してレッスンすることを学ぶんじゃありません。その自閉症のお子さんを迎え、何とかやり取りしながら、何をきっかけに音・音楽や活動を共有できるかを見つけていく作業をすることになります。
 この時、「自閉症児のための音楽療法」として蓄積されてきたことももちろんたくさんあって、これを学ぶことも一つの材料です。ですが、このやり方は直接的、即効的に役立つことは少なく、むしろ迂遠な感じがします。
 そうではなくて、一般的な「自閉症児のための音楽療法」から学んだ視点も使って目の前のオアイテを見て、何とか理解しようとする。もちろんそんなに簡単に理解できるわけはないので(もしできた気分になったら要警戒!)、いわゆる「あたり」をつける。「こんなことかなあ・・・」と思ってアクセスする、うまくいったと思えば次に進み、ダメかと思えば他の手を探る。そういうことの繰り返しですねえ。
 これは一言でいえば、オアイテを知る作業ですが、ガラス越しにマニュアル片手に観察するのとは全然違います。関わり合い、いっしょに活動しながら了解していこうとする作業です。


 ですが、このこと以上で明快で重要なもう一つの作業が、関わる自分自身を見つめることです。
 たとえ音楽療法の教科書にとってもいいことが書いてあっても、それを実践する自分にそれができるかどうか、
 あるいは「物凄い立派な先生ならこんな風にするだろう」ということが分かっていたとしても、そこにいるのはその立派な先生ではなく、非力な自分なんです。

 自分が何を感じ、それにどう反応する自分がいて、実際に何ができるのか、ということですよねえ・・・・。

 ここの所が音楽療法を行う時の実践的に一番重要なことで、入門講座ではそれぞれの方の体験を振り返りを一緒にしながら、自分を見つめることにつながれば、いいなあって思ってます。


 そういう風で、僕自身は自分を見つめて振り返ってばかりで、しかも人に語る場合は分かりやすく要点だけをすっきりと話そうとし、また結果的にうまくいったような話にまとめることも多いので、まるでナルシスみたいなことになってます。

 僕自身のエピソードを語る場合には、話がややこしくなるので言わないけれど、その話の、うち、そと、あるいは、うら、おもて、のそここには、つらい思いがひっついていることもたくさんあって、つい涙がこみ上げることも少なくありません。



 今、入門講座で一緒に学んでいただいてる方は、施設で日々高齢者と関わる方、児童デイサービスを立ち上げここで音楽活動を中心に進めようとする方、リトミックの先生で高齢者領域での実践を目指す方、演劇の手法を使ったカウンセリング(Play Back Theaterというそうです)を実践される方など多士済々。

 入門講座に参加してくださるお一人お一人のニーズを引き出して、音楽療法士の物の見方や対処する仕方のいっしょに模索していこうと考えています。

at 06:36, まんどろ, 音楽療法の活用

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ライブスペース勢の!いよいよ第30回!

 ライブスペース勢の!も回を重ねて、いよいよ30回です。

 4月29日(日)、僕の感覚ではいまだに天皇誕生日の方がピンと来るのですが、今は「昭和の日」です。
 いつもの時刻、いつもの場所です。そう午後4時から1時間、伊勢御薗の村井楽器伊勢店の2階ホールへ、皆さんどうぞおいでください。
 プログラムの内容は、ライブスペースのブログの方で公開していますので、こちらを覗いてみてください。

 楽器店の音楽教室で発表会は珍しいことはありません。またいくつかのバンドや有志が集まってのコンサートもあちらこちらでよく見られます。

 ライブスペースは、そのどれとも似ているようで、ちょっと違う、イメージとしては僕が子どもの頃小学校で普通にあった学芸会が一番近いような気もしますが、もちろん、先生が鞭を振り振り子どもに演じさせるのとは、全然違います。


 まず出演者の多彩さ、いわゆる音楽療法の過程で生まれたパフォーマンスをステージに乗せるものが毎回登場しますが、それだけじゃあありません。いかにもミュージシャンと呼ぶにふさわしい技量と表現力を備えた方や、楽器や歌の講師の先生方の演奏もあったり、またこのステージに向けて準備を整えてくる愛好家のひたむきで心地よい演奏もあります。

 誰がどのカテゴリーに入るかなどと考える人はいません。なので本当はこのような分類は全然意味がありません。むしろ今説明したこと全部が含まれているようなパフォーマンスが続いていくと言えば、僕はしっくり来るような気がしてます。

 常連の皆さん、いかがでしょうか?

 それともう一つ、お客様との交流ですね。別に直接お客様が何か歌ったりするというようなことではありません(そういう場面も結構ありますけど)。別に何を言っても言わなくても、出演者に注ぐまなざしが、パフォーマンスを作りあげていく、そういう経過の中で、じわじわと音楽が共有されていくんですね。


 出演者は出す音だけでなく、その姿形、全身で表現しているし、それを「あそこがまずい」とか「どこがうまくいった」みたいな評論家じゃなくて、トータルに受け止めるオーディエンスがいるってことです。


 第1回目から、そういう感じはありありでした。でも回を重ねるごとに、パフォーマンスを全体として受けとめ、いっしょになって音楽を形成していく、そういうことを出演者も観客もだんだんと体験していっているような気がしてなりません。

 音楽はどこかにあるんじゃなくて、いまここで、あなたと私が交り合いながら作り上げていっている、そういう共同の経験、とまあ理屈っぽく言えば、まさにこれば音楽療法の世界がみえてきます。

 僕は、このライブスペース勢の!が見えない部分で音楽療法を体感する、そういう場になっていると感じています。

 一度ぜひやってきてください。どうしても来れない方には、録画ビデオのDVDも貸し出しますので、お気軽に問い合わせてくださいね。

at 09:45, まんどろ, 音楽療法の活用

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巡回相談

 松阪市の幼稚園や保育園を周って先生から相談を受けるいわゆる「巡回相談」のお仕事を受けるようになって、もう6年か7年にもなる。僕は、まずは担任の先生からできるだけ丁寧に、子どもにまつわるエピソードを伺う。そして、標準化されたチェックリストを使って、大まかな発達の様子を探る。

 ここからが、僕が子どもと直接関わる楽器や音楽活動を使った個別の音楽面接の出番である。

 

 子どもにしてみれば、担任の先生が一緒とは言え、いきなり見ず知らずのおっさんに連れだされるし、そこでは見たこともないような物を見せられたりもするわけで、大変な緊張場面となる。

 で、その緊張の仕方、提示された楽器への近づき方や扱い方、さらには太鼓によるリズムの活動などで、僕は、それこそ千差万別、十人十色の反応に出会う。
 

 今まで経験したことのないような場面で、どのような行動に出るか、そこにその子どもの秘められた力が発揮されたりもするし、余るほどの力を持ちながら全然発揮しないこともある。そのすべてが、僕のアセスメントの対象となり、それまで担任の先生から聞かされていたことを実感を持って味わうことになるのである。


 
 緊張の仕方やそのほどけ方、担任の先生への甘え方なども含めて、楽器の操作の仕方は、ダイレクトに音に現れる。子どもが自分を表に出す、つまり表現するには、その場における安心感がなければならないわけで、どういう風に気持ちを安定させるかも面接の要点のひとつである。
 この音楽面接はほんの短い時間で、ほとんどの子どもにとっては楽しい活動である。しかも相当的確に子どもの実態が把握できるのも、音楽ならではのことであろう。



 
 だが、そんなこんなも含めて、幼い子どもが生活し学習する現場で、指導上の困難があるということでその時話題になる子どものことを話題にしながら、実は先生方と、一生の基盤づくりともなるこの時期の子どもの生活にとって、何が大事で、それをどのように育てていけばいいのか、ああでもない、こうでもない、という話し合いをすることにこそ、この巡回相談の意義を感じている。

 ともすれば、原則的、理想的な姿に傾きがちな僕の話に、大きく頷いてくださる幼稚園の先生方が少なくないことに、僕はとっても勇気づけられ、この仕事のありがたみをしみじみとかみしめて、今日も帰ってきたのでした。

at 14:05, まんどろ, 音楽療法の活用

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