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音楽療法 と 文脈 ということ

 昨日まで、鳥取県米子市で行われた日本音楽療法学会学術大会に参加してきました。
 
 講演やシンポジウムがでは、大会のテーマである「つながり」ということが再々話題になりました。

 音楽療法では音楽療法をする人を音楽療法士、またはセラピストと呼び、その音楽療法を受ける側の人をクライエントなどと呼びならわしてきました。

 僕はその呼び方自体に大きな抵抗を感じていて、「音楽療法士」と呼ばれることにも気恥ずかしさがありました。

 ですので、今回、講演などで、クライエントさんには家族や教育や介護に関わる様々な人のつながりがあって、音楽療法士にはまた音楽療法士の様々なつながりを背負ってクライエントの前に立っている、というようなことを言われても、あんまりにも当たり前すぎて、拍子抜けしてしまいます。

 ですが、今回の大会でこのようなことになったのには、それなりの背景もある、と思います。
 それは従来音楽療法学会が、療法士とクライエントの二者関係に重きを置き、そこでの深いクライエント理解(対象者理解と呼ばれます)に基づき、そしてそこで展開される音楽がその人の健康上の改善や向上にどのように寄与したかを、根拠をもって説明せよ、ということに向かって、現場の実践者である僕らを鞭打ってきていた気がします。
 学会に行くと、いろいろな人と出会う楽しさとは別に、学ばなければならないことに触れた歓びもさることながら、多くの面で自分の感覚との大きな開きに、僕は何度も何度も打ちひしがれてきました。
 そして実践現場では、「療法」ということとは別に、僕なりに精一杯オアイテを感じ取り、僕がやれることを精いっぱいやってきた、療法など、とてもとても・・・・。これが実感です。

 当たり前のことですが、ある音楽療法の実践では、そこにいるクライエントさんと療法士の活動であるにしても、どのようにしてそのクライエントさんがそこにやってきたのか、また療法士は何ができる人なのか、そしてそこがどんな場所なのか、などなど、各々がそれぞれに独自の文脈をもって、出会う場、なのだということです。

 音楽療法が孤立して(例えば施設内だけで)よいことをやっていても、社会に広がらない、他の様々な職種の人と連携を図らなければならない、みたいな話もありました。

 いまさらながら、という気もしますが、当たり前のことを当たり前にして前に進もうというのはよいことです。実際、「療法」の二文字が音楽することをないがしろにしたり、オアイテを見る目を曇らせたりしていると、思わざるを得ない療法士さんがいそうなことも感じています。また自分がそうでない、と言い切るのは実際不遜で危険なことです。

 
 その場で見たり、分かったりする、つまり感覚・知覚・認知みたいなこと。それは、その人の過去の経験や記憶に基づきます。例えば同じ場に立っても、おとなと小学生、また赤ちゃん(立てません)は、それぞれ違う景色を見ています。なのにその場を共有して共に楽しい時間を過ごせる、そういう風なことをいっぱいいっぱい経験して、生きる生き物なんだと思います、人とは。そこに音楽することが寄与する可能性は無限大でしょう。

 ということから始まって、音楽療法の議論が積み重ねられてしかるべきだとしたら、つながりなど言って「文脈」について語りだした学会は、ようよう出発点、ということでしょうか・・・・?

 えらっそうな言い方をしてしまった気もしますけど、自分を信じてぼとぼちと新たな文脈づくりに進みたいものです。

at 09:26, まんどろ, -

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kikyou, 2013/09/18 4:26 PM

米子から早くも2週間、日常に埋没しております。
ようよう出発点、ほんとですね。
伊賀の会員同士でも「学会もここまできたか!去年の社会福祉の研修で学んだことが出てたね。」と、
そんなことを語り合っていました。
「音楽療法士はスペシャリストからジェネラリストになるべき。」
「音楽療法士もICFの視点が大切」
というシンポジストさんの発言には実際、びっくりでした(ほんとに身を乗り出しました)。
ソーシャルワークで耳にする言葉がこんなに出てくるなんて。

今大会の“つながり”というテーマは、震災を経てということもあるのでしょう。
音楽と福祉・音楽と地域について向き合ったことで、学会も新局面へとシフトして行くのかもしれませんね。

まんどろ, 2013/09/19 12:10 PM

kikyouさん、いつもありがとうございます。僕は、いまさらながら、という気持ちが強いのですが、学会は学会として、僕らはもう少し前を歩んでいますので、そこの課題を明確にして、実践を重ねたいものですねえ・・・・。










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