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即興

 2014年9月28日、NPO法人三重音楽療法地域推進協会(MTちいき)主催で伊勢市御薗町のハートプラザみそののホールで「ミュージックフェスティバル2014」と銘打ったイベントが行われた。
 プロデューサー役の僕がこのフェスティバルで願ったことは会場の観客の皆さんが即興に興じるシーンが生まれる、ということであった。そのためにプログラムの構成や道具の準備では、精一杯工夫も凝らした。
 触ってみたくなる楽器や屈託ないお誘いのリズムに誘われ、あちらこちらで探るような音が生み出される。それに呼応するかのような音が重なっていく。

 そこかしこのお話のような音のやり取りは、周りの鋭い音や大きな音にも影響されつつ、立ち止まったり、揺れたりもしながらどんどん音に音が折り重なっていく。

 ステージでも客席でも周りに促されつつ、周りを促す音を出し続け、だんだんとうねりながら会場全体を包み込むようなサウンドが拡がっていく。

 会場全員での即興は、フェスティバルの最もステキなシーンとして、多くの人の印象にとどまったことと思われ、僕は嬉しかった。

 振り返ってみれば、「触ってみたくなる」、「試してみたくなる」楽器を目にして、思わず手が出る、そしてその手応えとしての音が返ってくる。そうすると、「いいねえ」と言わんばかりの相手の音が返ってくる。この日お集まりの皆さんが普段即興に慣れていると到底思われず、文字通りのお試しの即興であったと思う。
 その時、普段僕と音楽するいわゆる障がいのある仲間が積極的に相手をリードし、支えるような役回りを演じる姿が多く見らた。彼らの振る舞いこそ、「お試し」を促す大きな要因であったことは間違いないだろう。

 フェスティバルの余韻も冷めやらぬ1週間後に、僕はエールの仲間と名古屋に出かけ、「新倉壮朗(ニイクラタケオ)」のステージを観た。ここではタケオさんが湧き出るエネルギーをマリンバや太鼓に向けて、情熱的なリズムを展開した。タケオさんは楽器を置き、踊ってみせ、オーディエンスをステージに招き大きな即興シーンが生み出された。




 それからひと月もたたない11月3日、タケオさんが僕のスタジオに立ち寄り、尾鷲から駆けつけたエールの仲間との即興が始まった。

 タケオさんは普段あまり使うことのない、ギターを抱えどこまでも弾き、歌い続けた。

 タケオさんはプロのミュージシャンを相手にステージで即興し、観客を魅了し続ける正真正銘のミュージシャンである。巧まずして、身に備わったオーラとリズムの刻みが僕らを支え、引っ張った。

 そこには形にこだわらないからこそ生み出されるほとばしりがあった。
 
 実はエールがタケオさんに出会う前、僕は母屋の玄関口で、たまたまそこに置いてあったギターを手にしたタケオさんと1時間近くも2人で即興した。その時、僕らはお互いを感じ合いながら、単純な、ごくごく単純なギターサウンドを重ね続けたのである。その流れがタケオさんのギタープレイでのエールとの即興になったのか、得意の太鼓やピアノ、木琴など置いてあったにも関わらず、手にしなかった。きっと、おもしろかったのだろう、ギターが。

 今、3歳と1歳の孫たちが庭で遊んでいる。おもしろいだけのために必死であり、エネルギッシュな様々な動きに、ついつい引き込まれてしまう。

 おもしろい、ことに向かって湧き上がるのはミュージシャンだけではない。だからこそ、みんな即興シーンで自分なりの笑顔と表現を生み出し、素敵な即興シーンが生まれるのだろう。

 とりあえず、きょうはここまで。

at 10:39, まんどろ, -

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